2008年11月17日月曜日

全体設計

ロボットを構成する各要素とその主な役割を紹介します。


カメラからの画像、レンジセンサからの距離情報、方位センサからの方向情報を、PCで統括し計算してスラスタ(推進器)への入力を決めています。
たとえば
・レンジセンサで底面までの距離を測定し、目標の距離と離れているので近づくように上下方向のスラスタ(推進器)に入力を与える。
・ライントレースだと赤い線をカメラで読み取ってラインから離れると近づくように左右方向のスラスタ(推進器)に入力を与える。
・ドッキングのブイを探すため方位センサの値が北を向くように水平方向のスラスタにロボットが回転するように入力を与える。
などのような使い方をします。
しかし、PCにはUSBポート、LANポート、シリアルポートなど、センサデータやスラスタの指令などの信号の送受方法は決まっています。
そこでUSBで直接つなぐことのできるカメラはPCに直結し、
その他のセンサはH8マイコンを通してPCと通信できる信号に変換してPCに繋げています。
さらに、H8はPCからのスラスタへの指令をモータドライバの読み取れる信号に変換する役割をも担っています。
電力供給は電池から行っており、DC/DCコンバータを通して安定化して系に電力を供給しています。

2008年11月14日金曜日

容器内の板の固定

丸い容器の中にPCや基盤、カメラなどを固定しなくてはなりません。
パーツを固定するために、
1、板にPCなどの内容物を全てねじ止めなどで固定し、
2、容器に板を固定する
という方法をとりました。
今回は2の方法について説明します。
丸い容器に板を固定するには、板が
1、円周方向にまわらない。
2、上方向に飛び上がらない、下方向に沈まない。
3、前後方向にスライドしない。
この3方向への拘束が必要です。
そこで下図のように細長いレールを容器に接着し、これを用いて板を拘束しました。






このレールを用いて下のような板を固定します。






レールは拡大すると下のような形をしています。
細長い直方体のアクリル棒をやすりで角を削り取ってこの形を作ることができます。
やすりは目の粗い紙やすりを使うとスムーズに削れます。
斜面を完全に曲面に作る必要はなく、ある程度面が合うくらいで十分接着することができます。



この棒を2本作って円筒部の内面に接着します。
接着する際には板を容器に入れておいてそれに合わせて行うとうまく接着できます。
接着剤としてアクリル癒着接着剤を用いると液が板(アクリル以外の材料、HALにはジュラルミンの板を用いました)に付着してもくっつくことがなく、棒と容器だけを接着することができます。
棒と板の間は僅かにでも隙間をあけておかなくては板を抜き差ししづらくなるので、板にビニルテープを一枚貼っておいた状態で接着するなど、レールと板の間に若干のオフセットをとるとよいでしょう。

板はレールの上を通すのではなく、下に通します。
板を上のレールと容器で挟んで固定します。
これで円周方向と上下方向の拘束ができました。
前後方向の拘束は ゴムシートを用いて行いました。
1mm厚の薄いゴムシートを板に貼り付け、レールとゴムとの間の摩擦力で前後方向の拘束を行いました。
滑り止めゴムシート
http://fa.misumi.jp/m00-00.jsp


画像は前方hullのものですが、後方hullも同じ方法で板を固定しています。

2008年11月12日水曜日

電池

AUV(無索水中ロボット)であるためには電力を外部から得るわけにはいきません。
そのため電池からの電力供給が必要になってきます。
電池はラジコン用の充電池を用いました。
option No.1 フォーミュラー4500Ni-MH ZAPストレート
7.2V、4500mAhのニッケル水素電池を4本用意し、2本を直列に繋げて14.4V・4500mAh、
2本を並列に繋げて7.2V・9000mAhの電源として用います。
直列の電源をDC/DCコンバータで12V、5Vに変換してPC系へ、
並列の電源を直接スラスタ系へと繋ぎました。

          図:バッテリ系

さらにコネクタの接続をかえるだけで外部電源と内部電源を変換できるようにしました。



           図:電源外部内部切替


防水コネクタメスに外部電源をつなげると外部から電力を供給することができ、


          図:デバッグ用外部電源接続


電池をつなげると無索でロボットを動かすことができるようになります。


          図:AUVモード用内部電源接続


防水コネクタは多治見無線電機製の防水コネクタを用いました。

http://www.tajimi.co.jp/

1ピンで流せる電流量が限られていますので(1ピンあたり2A)、

8ピンのものを選び14.4Vを2ピン、7.2Vを2ピン、GNDを共通で4ピンとして十分な定格電流を確保しました。

2008年11月7日金曜日

圧力容器

 今回はHALの圧力容器についての話です。
 アクリル材の半球、円筒、円盤、ドーナツ状の円盤の貼り合わせ・組み合わせで水深約10mまでの耐圧性能を持った圧力容器を作ることができます。
 直径150mm、厚み3mmのアクリル半球と直径150mm、厚み4mmの円筒をアクリル用癒着接着剤で貼り合わせて前方圧力容器を作ります。
直径150mm、厚み3mmの円盤と直径150mm、厚み4mmの円筒を貼り合わせて後方の圧力容器を作ります。
 それに蓋をつけると出来上がりなのですが、この蓋にはひと工夫が必要です。普通蓋には溝を掘ってOリングを用いて水密を保ちますが、この溝をHALでは径の違うドーナツ状円盤の貼り合わせせで実現しました。
図1:蓋の貼り付け


 142mm内径に合うOリング規定の溝幅7.5mmのところを8mmで作りましたが問題なく水密効果が得られました。
 鏡板φ150mm/t3、ドーナツ大φ141mm/t5、ドーナツ小φ132mm/t8、ドーナツ大φ141mm/t5をこの順に貼り付けて蓋を作りました。
 このとき中心を丁寧に合わせることに注意してください。
 容器に蓋を付けただけでは外にケーブルが出せません。
 水中コネクタであるバルクヘッドコネクタは高価であり、コスト削減のためIP68(防水1気圧規格)のLAPP社製スキントップを用いてケーブルを直接外に出しました。
 スキントップを通す穴径は通るギリギリの大きさが推奨です。

図2:前方hull



図3:後方hull


 使用したスキントップはST-7、ST-M16などです。使うケーブルの数や太さに合わせて選びます。http://www.kmecs.com/products/products.cgi?id=17
前方は蓋に12個の穴をあけ、後方は鏡板に3個の穴をあけましたが、どちらも問題なく耐圧効果は得られています。
 耐圧計算は浦環・高川真一編著「海中ロボット総覧」のpp.151~の式を参考に計算し、水深10m耐圧を目標に設計しました。
 前方の蓋はフレームと容器で挟んで固定し、後方の蓋はバンドで留めました。

図4:空っぽのHALurabo



 蓋を取り付ける際、グリスを塗っておくと楽に閉めることができます。

☆水中ロボコン☆

11月1日に水中ロボコン大会がありました。

HALウラボもこの日までに無事完成させることができ、実験水槽では個別にですがそれぞれのタスクをクリアできるようになりました。



ケーブルが付いていますが、これはスタートの指令を送るためのもので、タスク中に通信を行っているわけではありません。
本番には無索(電力供給・通信のためのケーブルなし)で挑むことができました。

今回の水中ロボコンではまだ少し不安定であったレンジセンサを使わず、スラスタの回転時間を用いて深度制御を行いました。

第一戦ではHALウラボの浮力が大きすぎてすぐに浮上してきてしまいました。

第二戦では浮力が小さく、沈んでしまいました。

いずれも目標を探そうと動いてはいましたが結局見つけることができずクリアすることができませんでした。

結果、HALウラボは第4位になりました。

次回の水中ロボコンは4月。
今回の初舞台で多くの課題が見つかり、これからはそれらを1つ1つクリアしていくことを目標としてレベルアップしていこいうと考えています。